健康経営優良法人とは?メリットや認定基準について
企業の業績は、製品やサービスだけでなく、働く人々の健康にも大きく左右されます。このため、今日では多くの企業が従業員の健康を守り、成長をサポートすることが求められています。その取り組みの一つが「健康経営」です。健康経営を推進している企業の中でも特に優秀な企業に与えられるのが「健康経営優良法人」です。
では、どのような企業が「健康経営優良法人」に認定されるのでしょうか。また、認定されるメリットは何でしょうか。この記事では、健康経営優良法人について、その認定基準とメリットを解説します。
目次
健康経営とは
健康経営とは、企業が従業員一人ひとりの健康に関心を持ち、それを維持し向上させるために様々な取り組みを行う経営の仕方を指す考え方です。単に従業員の健康を高めるだけでなく、健康な従業員によって引き出される活力や効率向上を通じ、企業全体の業績を上昇させることを最終的な狙いとする戦略的な経営スタイルです。
具体的には、社員の健康状況の調査や診断・疾病の早期発見と予防・メンタルヘルスのケアなどの積極的な健康管理に加えて、職場環境の改善・労働形態の見直し・適切な情報の提供や教育・ヘルスケアサービスの提供といった取り組みも取り入れています。
健康経営は、従業員にとっては快適な労働環境と健康的なライフスタイルの実現ができ、職場満足度を引き上げる一方で、企業にとっても高い生産性やコミットメント、退職率の低下といった長期的なメリットをもたらします。従業員の健康の重要性が強調される現在、健康経営はそれ自体が成長への投資であり、企業経営において外すことのできない要素となっています。
健康経営優良法人認定制度とは
健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省と厚生労働省が主導し、健康経営に力を入れる大規模・中規模企業やその他の法人を認定し、際立った業績を顕彰する公的な取り組みです。健康経営に優れた企業を「可視化」し、それぞれの法人における健康経営推進の助けとするために設けられています。
認定を受けることで、健康経営優良法人のロゴマークを企業広告や求人情報に使用できます。さらに、一部の自治体では公共調達や公共工事の入札においてプラス評価となる制度があるほか、特定の金融機関や保険会社から優遇措置を受けられる可能性もあります。
この認定制度は、「大規模法人部門」を対象としたものと「中小規模法人部門」を対象としたものの2つの部門があります。これにより、企業における健康経営の取り組みを更に推進し、社員の健康を維持し、企業価値を持続的に上昇させることを目指しています。
ブライト500・ホワイト500とは
ブライト500およびホワイト500は、健康経営優良法人の中でも特に優れた500法人を称える称号です。
ブライト500は中小企業部門の上位500法人を、ホワイト500は大企業部門の上位500法人を指します。
これらの称号を得るには、より厳格な認定基準を充たす必要があります。
健康経営優良法人の対象となる法人とは
「健康経営優良法人」とは、社員の健康を重視し、その経営に積極的に取り組んでいる企業や団体のことを示す認定です。従業員の健康管理、健康状態の把握や改善策の検討など、社員の健康に対する取り組みが要求されます。そして、厚生労働省により定められた基準に適合しなければこの認定は受けられません。情報技術を使って企業の規模や業務内容を考慮した基準が用いられます。
健康経営優良法人の認定を手に入れることで、社員の健康を大切な経営資源と見なし、その維持に注力していることが証明されます。この結果、長期的な業績向上やブランド力強化といった効果が期待できます。
ただし、健康経営優良法人の認定を申請するには、少なくとも1人以上の従業員を雇う必要があります。そのため、経営者だけの1人法人や、法人格を持たない個人事業主、任意団体は申請することはできません。
対象となる組織は多種多様で、一般的な企業に加えて、弁護士法人や税理士法人などの士業法人、特定非営利活動法人(特定NPO)、医療法人、社会福祉法人なども含まれます。また、会社法に基づく会社や社団法人、財団法人といった法人格を有する組織や、公法人、特殊法人なども申請可能です。
健康経営優良法人の申請区分とは
健康経営優良法人とは、社員の健康をビジネス戦略として捉え、その努力が評価される企業のことを指します。その対象となる企業は申請の区分により異なります。
その一つは、「大企業部門」で、501人以上の従業員を持つ企業が対象となります。続いて「中小企業部門」があり、これは50人以上500人未満の従業員を抱える法人が該当します。そして最後に「小規模事業主部門」が存在し、2人以上49人未満の従業員を擁する企業です。
この制度の申請を行えば、認定された企業は社内外に自社の健康経営への取り組みを広報することが可能となります。それは健康に対する認識を向上させる一方、疾病の予防やパフォーマンス向上につながるため、企業にとっても社会全体にとっても有益な戦略となります。
健康経営の推進は企業のブランド力を上げ、企業風土を改善するなど、ビジネス戦略の長期的視点からも大きな効果が期待できます。例えば、従業員数が200人のサービス業などで、資本金が1,000万円(5,000万円以下)の企業は、大規模法人部門または中小規模法人部門のどちらへの申請も可能であるというわけです。ただし、2つの部門へ同時に申請することは適応されません。
また、医療法人や社会福祉法人、社団法人などの非企業法人では、従業員数だけが基準とされています。健康経営の積極的な取り組みが評価され、社内外に対するPRの機会となるこの制度をうまく活用しましょう。
健康経営優良法人認定のメリットとは
健康経営優良法人の認定を受けるメリットを解説します。
健康経営の実現による生産性・持続可能性の向上
目的が明確でなければ、活動の意欲はそそられず、取り組みが形骸化し、ほとんど成果を生まない可能性があります。
そのような場合には、健康経営優良法人としての認定を目指すという具体的な目標設定が有効です。これにより、全社員の視点が一緒になるだけでなく、各自の動機づけも高まるでしょう。
結果的に、健康経営の推進が進み、労働者全体の健康を向上させることが容易になります。
【健康経営の魅力】
1. 生産性の向上
労働者が健康であれば、病気や休職などによる生産力の低下を避けることができます。健康が良ければ、集中力や創造力も高まるでしょう。
2. 互助性の強化
企業が従業員の健康に配慮することは、安心感を提供し、職場への満足度や忠誠心を高めます。その結果として、優秀な人材を確保し続けることが可能となると同時に、新たな人材獲得にも繋がります。
3. 社会的認識力の増大
健康経営優良法人として認定されることで、会社の社会的な信用度が向上します。これにより、働きやすい環境を提供し、会社の価値とイメージを引き立てることができます。
以上の注意点を踏まえながら、健康経営優良法人認定は、生産性の強化や持続性の確保など、企業管理における重要な手段となることでしょう。
会社の知名度アップ
この認定を受けることで享受できる最大のメリットは、企業の名声とブランドイメージが高まることにつながります。
厚生労働省の公式ウェブサイトや地元メディアなどで健康経営優良法人として企業名が公表されることにより、広い範囲でその取り組みが認識される機会がもたらされます。 これは会社の存在感を一層強め、その公信力と信頼性を増大させることができます。
加えて、健康経営に真剣に取り組む信念がある企業という地位は、仕事を探している人々にとっても魅力的です。このような企業文化に魅力を感じる優れた人材がこの会社を選ぶ可能性が高まります。
この認定は現在の従業員に対しても、会社が自分たちの健康を真剣に考えていることを示す証となります。その結果、高まるモラルと生産性の向上が会社の業績を向上させる一助となるでしょう。
求職者へのPR・採用活動の強化
この認定を得ると、自社のウェブサイトや採用案内に認定マークを掲出することができます。これにより「当社は社員の健康を重視して経営しています」というメッセージを効果的にアピールすることが可能になります。その結果、雇用候補者の中からの応募率が増えることが予想されます。
さらに、健康経営優良法人の認定すると、ハローワークの求人票に認定情報を掲載することもできます。これにより、求人の信頼性を増すとともに、ハローワークからの応募率も上昇する可能性があります。
公共調達・公共事業の入札時の加点(一部地域)
この認定を取得すると、企業は多くの利点を享受することができ、その一つが公共契約や公共事業の入札における「加点制度」です。
このシステムは一部の地方自治体で適用されており、健康経営優良法人認定を持つ企業は、公共事業の入札に参加する際、入札評価に加点されて競争力を向上させることが可能です。これにより、事業機会の拡大が見込まれ、また、他の企業に対しても健康経営の重要性をアピールします。
自治体・金融機関による金利優遇(一部地域)
認定を受けると、何よりも金利優遇が受けられる可能性が広がるのが大きな利点です。地元の自治体や地方銀行、信用保証協会などから融資を受ける際、健康経営優良法人の企業は金利を引き下げるなどの優遇措置が受けられます。さらに、一部の地方銀行では従業員が住宅ローンなどの個人ローンを組む際にも金利引き下げの特典がある場合もあります。
これらは、健康経営が従業員の働きやすさや生産性を向上させ、企業の信用力まで高めると評価された結果です。その証とも言える金利優遇は、経営者にとって大きなメリットとなるわけです。
保険料割引
「健康経営優良法人」として承認されると、特定の保険会社から保険料割引のような優待を受けることができます。これは、企業が従業員の健康へ投資することで競争力が向上するという観点から作られた制度になります。
特に注目すべきなのは、この認定を受ければ健保組合による保険料査定で優遇扱いになりますので、会社側が負担する保険料が削減されるという点です。これによりコスト削減が可能となり、財務面でのメリットも大きいです。具体的には、健康経営の実践が年々査定され、一定基準を満たすことができれば最大6%の保険料が割引されます。
さらに健康経営優良法人の認定を受けることで、社員の健康管理への企業の関心が深まるでしょう。元気で活気ある働き手を育成する環境は、生産性の向上や従業員の定着率を高める動力になり、事業の発展に昇華します。
健康経営優良法人認定のデメリットとは
健康経営優良法人の認定にはさまざまなメリットがありますが、注意点やデメリットも存在します。
請手続きに手間・時間がかかる
認定に至る過程は多少手間と時間を必要とします。対象となる企業の規模と条件、実施施策の内容などを確認の上で詳細な書類を作成し、所定の手続きに則り申請をしましょう。
一見すると事務作業が苦手な方はハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、心配には及びません。加入している保険者(保険会社)の協力を得てアドバイスをもらいながら手続きを進めることも可能です。また、現在では全ての申請を電子申請で行うことができ、紙の書類に記入し捺印、郵送するといった煩雑な作業も必要ありません。
毎年申請する必要がある
受けた認定を維持するためには年1回、申請の手続きが必要となり、これが厄介なデメリットとも言えます。認定保持のためには、健康経営に対する具体的な取り組みを示す様々な書類を揃え、期日までに提出しなければならないのです。詳細な社員の健康情報や事業内容・取り組んでいる具体的なアクションなどを記録し、提出するという作業は、経営者や担当者にとっては、貴重な時間と人材の投入が生じるかもしれません。
さらに、提出した書類は公開情報となりますから、これには企業活動や労働環境の詳細が記され、外部の目に触れることとなります。ここで情報の管理が不適切であれば、会社のイメージ低下を招く恐れもあります。
健康経営優良法人の取得条件とは
「健康経営優良法人」の認証を得るためには、特定の基準を満たす必要があります。具体的な要件を理解することで、健康経営を進めるための具体的な戦略を策定することが可能となります。
基本的に、企業は従業員の健康支援に全体として取り組んでいることが要求されます。具体的には、経営陣が主導的に健康支援活動を進め、企業内の制度やヘルスプログラムを整備することが重視されます。
さらに、健康経営のPDCAサイクルを適切に運営する組織構造が求められています。これは、健康経営の目標設定、施策の実行、評価・解析、そして改善策の導入という一連の流れを確証できる証拠が必要であるということを意味します。
加えて、企業の健康経営への取り組みと成果を示す「健康経営宣言」を公式ウェブサイト等に掲示することも認証要件とされています。
健康経営優良法人2022「大規模法人部門」の認定基準(評価項目)
健康経営優良法人2022『大規模法人部門』の認定基準は、「経営理念と組織全体の健康への取り組み度」「具体的な健康管理策の実行度」「健康環境の評価と改善力」「健康への法規制遵守とリスクマネジメント」の4つの大項目へ分類されています。
これら大項目の下で、企業が具体的に「健康経営」の視点を企業理念や経営方針へ取り入れ、それを行動計画として策定・推進しているか、また健康診断の定期実施やメンタルヘルス・喫煙・飲酒問題への対応策など、健康対策の実践度合いとその効果を評価、改善に取り組んでいるか、さらには働き方改革の推進による労働時間の調整や仕事とプライベートのバランスを保つ環境の構築度が評価されます。
そして、企業の健康経営には、必須となる産業医や保健師との連携が不可欠であり、その関与による健康保持・増進活動の立案・検討が評価されます。ただし、産業医が健康活動に消極的な場合には、基準達成は困難となります。
健康経営優良法人2022「中小規模法人部門」の認定基準
ここでは、2022年度「中小規模法人部門」の認定基準を見ていきましょう。
認定基準は大規模法人部門と同様、「5つの重要な項目」に大きく分けられます。健康経営を経営戦略として位置づけ、その推進体制を明確にすること。次に、健康に関するリスク要因の特定と、それを改善するための手段を実行しているかどうか。
そして、これらの取組みの評価及び改善のためのPDCAサイクルの循環が強化されているかどうか。認定基準の多くは共通化されているため、中小規模法人部門でも認定のハードルは決して低くないことを理解することが重要です。
さらに、認定を受けた中小規模法人部門の企業事例からは、産業医や産業保健師を有効利用している傾向が見られます。経営者からのメッセージや従業員の士気だけでは、認定条件の達成は難しいのが現実です。このため、産業医などの専門家からアドバイスを受けて、計画的に認定条件を満たすことが最も効率的な方法であると言えます。
中小規模法人部門(中小企業向け)の健康経営優良法人の申請方法とは
中小規模法人部門(中小企業向け)の健康経営優良法人の申請方法をご紹介します。
①加入している協会けんぽ等の「健康宣言」事業へ参加
まず、企業が所属している協会けんぽなどから始め、その”健康宣言”事業への参加が求められます。これは、企業が一定の健康管理の基準を守ることを公に約束し、それを実現するための活動に取り組むという宣言です。
「健康宣言」は、健康促進の役割を担う人が中心となって作成し、それを企業全体に公示します。これにより、社員間の絆と共通目標に向かう意識が高まります。
次に、健康経営の推進体制、取り組み内容などを具体化した健康経営プランを作ります。作成したプランは、制度実施機関に申請します。
②健康経営の体制づくりを開始
中小企業が厚生労働省から”健康経営優良法人”の称号を得ることを目指す場合、適切な申請プロセスを進行することが成功の鍵となります。その一環として、「健康経営の体制作りの開始」は重要な一歩です。
ここでは、総力を挙げて労働者の健康を戦略的に管理し、支援する体制を確立する役割が経営陣に託されます。その中には、健康経営目標の制定・会社内での健康経営活動の周知・健康状態の監視・評価・改善のフレームワークの構築が含まれます。
さらに、健康経営の理念を全組織で共有するために、健康経営を推進するリーダーの養成と役割代行(トレーニング)システムを導入することも重要です。これらにより、企業全体で健康経営を理解し、実行することが可能になります。
③健康経営に向けた取り組みの実践
「中小規模法人部門健康経営優良法人」の認定を受けるにあたり、まず策定する体制の中で健康経営の実行とその続行が重要です。
こうした健康経営を進めるためには、まず事業主の強い意識と明確な方針が組織全体に伝わることが重要です。経営陣自体が積極的に社内コミュニケーションをとり、健康経営の重要性を常に訴えかけることで、全体の健康に対する意識改革を推進します。
さらに健康経営を行うためには、全従業員が参加する健康管理プログラムの策定と推進が必要になります。具体的な取り組みとしては、定期的な健康診断の実施、ストレスチェックの提供、そして運動や食生活の管理などが挙げられます。
健康経営が真剣に取り組まれ、その成果が確認できるよう、これらの取り組みとその結果は事業報告書やホームページ等に具体的に記載する必要があります。
加えて、企業が真摯に健康経営を進めるためには、健康状態や生活習慣、ワーク・ライフ・バランス等の指標を把握し、その改善に向けた一貫した取り組みが重要になります。
④健康経営優良法人認定事務局へ申請
健康経営が評価される中小規模法人を目指す企業の皆様にとって、「健康経営優良法人」の認定取得は重要な一歩となります。事業活動を通じて社員の健康実現への取り組みが評価され、それが企業としての信頼性向上につながります。
まずは、健康経営優良法人の認定を受けるための段取りから説明します。その第一歩は、企業の取り組み状況とアクションプランの明確化です。これにより健康経営の実績と取り組みの将来性を示すことになります。
そして、次のステップは認定申請書の提出です。次回の申請受付期間(8月下旬~10月頃)に入りましたら、日本経済新聞社の健康経営優良法人の専用サイトからログインし、新規申請用のIDを取得します。その後、申請書をダウンロードし、企業の健康経営の具体的な取り組み状況を詳細に記入します。
準備が整いましたら、申請書のファイルを同サイトからアップロードし送信します。これをもって、’健康経営優良法人認定事務局’への申請が完了となります。その後、事務局による審査が行われ、結果に応じて認定が下されます。
⑤健康経営優良法人認定事務局による審査・日本健康会議による認定
「中小規模法人部門健康経営優良法人」の認定を受けるためには、第一に、企業の健康経営の戦略と具体的な計画を策定し、全組織でその理念を共有することが基本となります。
策定が完了したら、その内容や実行期間、目指す目標等を詳細に記入した申請書を健康経営優良法人認定事務局に提出します。提出したら、認定事務局が公正に審査を行い、その結果が日本健康会議に提出されます。
認定は例年3月に発表され、その認定は翌年の3月31日まで有効となります。この認定を受けると、企業の社会的評価が高まり、健康経営優良法人と公表することが許可されるだけでなく、様々な特典や優待も受けられます。
この認定を継続的に保持するには、翌年度の健康経営優良法人の申請を再度行い、審査に合格する必要があります。こうすることで、企業の健康経営が継続的に進化し、持続的な成長を実現していきます。
大規模法人部門(大企業向け)の健康経営優良法人の申請方法とは
大規模法人部門の健康経営優良法人の申請方法をご紹介します。
①健康経営度調査に回答
この認定申請は、複雑なプロセスではなく、始まりは健康経営度調査への参加からです。この調査は企業が健康経営にどう取り組んでいるかを把握するためのもので、労働環境の改善や健康格差の縮小など、健康経営に無くてはならない要素についての質問が含まれています。
回答は具体的で誠実に行われるべきで、それに基づいて企業の健康経営の具体的な状況が判断されます。健康経営度調査の成績がある基準を満たすと、健康経営優良法人への認定申請が可能になります。
重要なのは、ただ申請するだけでなく、真に健康経営を行い、社員の健康と快適な勤務環境の実現を心がけることです。健康経営優良法人は、その達成とその結果を評価し、公的に認められる意味合いのある制度なのです。
健康経営度調査を受けるためには、まず経済産業省の健康経営優良法人申請ページから登録し、新規申請用のIDを取得します。その後、健康経営優良法人の専用サイトにログインし、健康経営度調査用のファイルをダウンロードします。全ての項目を埋めたら、専用サイトからアップロードします。
なお、東証一部上場企業や、過去に健康経営度調査に回答したことのある企業は、受付開始時に案内がメールで送られますので、新規申請登録は必要ありません。
②認定基準の適合可否のチェック
企業が評価される主たる認定基準としては、健康経営の取り組みの具象性や継続性、生活習慣病の予防やメンタルヘルス対策への取り組み、健康診断の受診率、病気のある従業員へのガイダンスの実行状況などが挙げられます。
さらに、具体的な取り組みとしては、健康診断結果を活用した健康情報の提供、働きやすい職場環境の整備、ストレスに対するチェックの実施などが必要となります。
③健康経営優良法人認定事務局へ申請
日本経済新聞社が運営する健康経営優良法人認定事務局のウェブサイトを訪れ、申請書をダウンロードしましょう。その後、自社が施行している健康経営の方針や具体的なアクション、その結果について詳細に記述し、指定のメールアドレス宛に送付します。ここで注意が必要なのは、自社の特色ある健康経営の取り組みとその成功例を、全ての項目にわたって具体的に示すことです。審査では、準備した書類の情報を基に、企業の健康経営の実践とその効果が評価されます。認定結果はウェブサイトで発表され、認定された企業は健康経営の推進やその成果を通じて、企業価値の向上を目指し、社会の健康増進に貢献します。それぞれの企業が当該申請書を、保険者との連名で、健康経営優良法人認定事務局へ提出する形となります。
④健康経営優良法人認定事務局による審査・日本健康会議による認定
事務局による査定が行われ、さらには日本健康会議の厳格な審査が待ち受けています。評価は事業内容、職場環境、健康支援の具体的事例など、広範囲にわたります。
認定が下されると、それは企業の社会的評価を驀進させ、良好な職場環境の実現にも寄与します。手続きが終了したら、事務局の審査が行われ、問題がなければ日本健康会議による認定が実施されます。認定の告知は毎年3月に行われ、その後、次年度の3月31日までその年の健康経営優良法人としての認定が効力を持ちます。また、持続的に認定を保持するには、翌年度の健康経営優良法人への再申請と認定の更新が必要となります。
まとめ
「健康経営優良法人」の認定は、企業の健康経営の取り組みを評価し称えるものです。認定基準は多岐にわたり、従業員の健康状態の管理、健康増進プログラムの有無などがチェックされます。認定を受けた企業は、優良な労働環境を創出し、適切な健康サポートを提供していると社内外から認められるため、企業のブランド力向上や優秀な人材の確保、保有が期待できます。