デジタライゼーションとは?デジタイゼーションやDXとの違い
テクノロジーが急速に進化して現代社会を塗り替える中で、「デジタライゼーション」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」といった言葉を耳にする機会が増えてきました。
しかし、「デジタライゼーションとは具体的に何を指すのか?」「DXとデジタライゼーションは何か違いがあるのか?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。
今回は、それぞれの概念について詳しく掘り下げ、その本質と違いを明らかにしていきます。「デジタライゼーションは一体何であり、どのような違いがDXと存在するのか」この疑問を解消し、これらの理念をうまく活用してビジネスや日々の生活を豊かにするための一助となれば幸いです。
デジタライゼーションとは
デジタライゼーションとは、アナログからデジタルへの情報変換のプロセスを指し、電子的に処理できる形にすることで、世界中で発生するデータを瞬時に共有したり、いつでもどこでもアクセス可能な形にする現代社会の不可欠なトレンドです。この流れは、私たちの生活、働き方、そしてビジネスモデルそのものにまで影響を及ぼしています。
具体的には、ビジネス文脈においては、企業はデジタライゼーションを活用して自社のビジネスモデルを革新し、新たな価値や顧客体験を創出しています。
カーシェアリングサービスの台頭が、所有から利用へとビジネスのあり方を変えたように、従来のDVDレンタルからストリーミングサービスへの移行も同様の変革を示す一例と言えるでしょう。
一方で、デジタライゼーションにはセキュリティ上の課題も伴います。個人情報の流出や不正アクセスのリスクが増大し、それらから自らを守るための策を講じることが求められています。
デジタイゼーションとは
デジタイゼーションとは、紙ベースの資料や物理的なデータなどをデジタルフォーマットに変換し、自由にアクセスできるようにするプロセスのことを指します。
これにより、情報の利用性や利便性が飛躍的に向上し、時間や場所に関係なく必要なデータにアクセスできるようになります。
その概念は、インターネットやクラウドテクノロジーの発展とともにますます重要になってきました。AIやIT技術の応用により、企業は業務効率化や新規ビジネス開拓などの可能性を手に入れました。
しかし、デジタイゼーションは単に情報をデジタル化するだけではないということが重要です。データの管理や分析、それにソフトウェア開発なども必要とされ、それら全てを統合的に進めることがこのプロセスのカギとなります。
そして、デジタイゼーションの影響は各企業だけでなく社会全体にも及び、新たなビジネスモデルやサービスが生まれています。
デジタルトランスフォーメーションとは
DX=デジタルトランスフォーメーションとは、経済産業省の「DXレポート2」によれば「ビジネスや社会の一部に留まらず、組織全体をデジタル化するという包括的なアプローチである」と位置づけられています。
これは、一つ一つの業務プロセスを超え、全体的な視点から価値を創造するものであり、組織や業務のデジタル化を各部門で推進することにより効率化や革新を促します。
DXの目指す所は、AIやクラウドコンピューティング、ビッグデータといった最新技術の積極的利用にあります。この潮流は、製造業から小売業、教育や医療といったあらゆる業界で品質向上や効率化をもたらし、全体的なサービスレベルの高揚を促進しています。
しかしながら、技術導入だけではDXの全面的な成功はないと言えます。成功の鍵となるのは、技術導入と並行し、組織風土の変革、人材の育成といった要素も組み合わせることです。これらを総合的に推進し、ビジネスやサービスをデジタル化することで、企業の競争力を未来へと繋げることが可能となります。
デジタル変革は、組織全体が共通の認識を持ち、経済全体のデジタル化と技術進化へ対応するビジネス戦略を立てる上で重要な取り組みです。今後もDXの進化度は、企業の成功と直接結びつくと言え、今後のビジネス環境に対する独自の戦略を構築する上で欠かせないでしょう。
IT化・デジタイゼーション・デジタライゼーションの関係とは
「IT化」「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」は、デジタル化の進行に伴う概念として理解するのが重要ですが、その具体的な組み合わせは複雑で理解しづらい場合もあります。
IT化は、前提となる情報技術のインフラ整備と、様々な情報をデジタルデータ化するプロセスを指す概念です。この一連の流れは、ビジネスの効率化や情報共有の改良に繋がり、全体的な業績の向上に寄与します。
次に、デジタイゼーションは物理的なデータをデジタル化することで、紙の書類を電子化するなどが該当します。デジタイゼーションによって、情報の保管・検索・共有が容易になります。
そして、デジタライゼーションは、日常生活やビジネスをデジタル技術と融合させ、情報やサービスを手軽に手に入れることを可能にする一歩先を行くプロセスを意味します。この変革は、組織が新しい価値観を持つための基礎となります。
これらをまとめてみると、「デジタイゼーション」によりモノや業務が電子化され、「IT化」が進行することで作業効率が上昇し、「デジタライゼーション」によりビジネスや生活がデジタル化されて、情報やサービスの瞬時の取得が可能になるというプロセスが描けます。
つまり、「デジタイゼーション→IT化・デジタライゼーション→DX(デジタルトランスフォーメーション)」という流れが形成され、それぞれが相互補完的な関係を持ちながらデジタル時代の進化を支えるのです。
デジタル化が進んでいない企業のDXアプローチとは
DX推進のアプローチは企業毎に異なりますが、一例をご紹介します。
デジタイゼーションの推進
デジタル化が遅れている中小企業でも、DX(デジタルトランスフォーメーション)への道筋は存在します。その第一歩とは、情報をデジタル化するデジタイゼーションの推進から始めることです。
デジタイゼーションとは具体的には、社内の業務プロセスや成績データ、更には顧客情報等の紙や物理的な情報をデジタルデータに変換することを指します。これにより、情報の共有や解析がスムーズになり、新たなビジネスのタネや業務効率化が見込めます。
ただし、単にデジタル化を進めただけではDXの成果は得られません。デジタル化を図るとともに、組織全体の意識改革が必要となります。長年のアナログ思考を見直し、デジタルをフル活用する新たな仕事のスタイルやビジネスモデルに積極的に取り組むべきです。
さらに、デジタイゼーションは一過性のプロジェクトではなく、継続的な取り組みが要求されます。デジタル社会は瞬時に変化するため、最新の技術を駆使して市場の動向に柔軟に対応し、組織体制を維持することが求められます。
以上の取り組みは一朝一夕には達成できないかもしれません。しかし、進化する現代社会で競争力を保つためには、このようなDXの推進が不可欠となります。まずは、ビジネスプロセスのデジタル化や組織の変革を進め、DXの必要性を理解した上で、全部門間のコンセンサスを得ることが重要となります。これらの基盤が整った上で、DXを本格的に推進しましょう。
デジタライゼーションの推進
全世界がデジタル化の波に乗る中で、一部の企業はまだその第一歩を踏み出せていません。そのような企業が向かうべき道は、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。以下、そのアプローチについて解説します。
第一に、デジタル化がもたらす価値を全く理解することです。デジタル化は業務効率化や改善につながり、生産性の飛躍的な向上を期待できます。また、データをうまく活用すると未知のポテンシャルを見つけることができます。
次に、デジタル化実施の戦略を考えることが必要です。ただ漠然とデジタル化に取り組むのではなく、企業の特徴や業界の動向を踏まえて、最適な部署からデジタル化に着手するべきです。
さらに、日常的な仕事をデジタル化するためには、研修や教育が不可欠です。これまでアナログを依存していたスキルを、時代の要請に合わせてデジタルスキルへ転換させる必要があります。
デジタル化は企業の競争力を強化する要素です。しかし、その進行状況や進め方は、企業ごとの経営戦略や組織構造に応じて適切に決定するべきです。デジタル化への取り組みは、企業の未来のために、もはや待つべからざる課題となっています。
デジタライゼーションの具体例とは
デジタライゼーション具体例を見ていきましょう。
RPAによる作業の自動化
デジタル化とは、情報を計算機が読み取り、処理できる形に変換することであり、これは今日の社会における効率向上や進歩の鍵となっています。その主要な例として、RPA(Robotic Process Automation)を用いた一部の業務プロセスの自動化があります。
RPAを利用すると、一部、または全体のルーチンワークを自動化することが可能となります。事務的な業務であるデータの入力や書類作成、毎日のタスクレポートや営業活動の補助など、人が持っていた一定の仕事をロボットが自動で実施します。それにより、人間がより高度で難解な仕事に集中可能になり、全体の労働効率が上昇します。
さらに、RPAの活用に伴い、ヒューマンエラーは大幅に削減し、品質が向上します。全てこれらは、デジタル化の明確な事例となります。
現代のビジネス界では、デジタル化が段階的に進化していますが、RPAなどの技術が更に広まることで、企業の成果や働き方改革に対して大きな結果をもたらすことは確実でしょう。
カーシェアリングサービス
カーシェアリングサービスはデジタライゼーションの鮮やかな実例として挙げられます。自動車レンタルの既存の概念にデジタル技術を追加することで、より便利で効率的なサービスへと進化させました。その最大の特徴は、いつでも必要な時に車をすぐに手に入れることができるという点です。さらに、専用アプリを使って車両の予約から返却まで直感的に行えます。
特に都市部では、個人が車を所有する必要性を否定し、エコな選択とコスト削減を可能にします。すべての車両にはGPSが装備されており、利用者はスマートフォンを使用して最寄りの利用可能な車を探し出し、その場所へ直接移動します。スマートフォンは鍵として機能し、車を開始して運転することもできます。使用後はどこでも車を停めることができ、料金は使用時間と走行距離に基づいて課金されます。
カーシェアリングサービスは、インターネットとスマートデバイスを活用した典型的なデジタライゼーションの一例で、働き方や生活スタイルの多様なニーズに対応しています。また、そのデジタライゼーションにより、持続可能な社会への貢献も果たしています。このようなサービスは、未来の新しいトレンドを形成する可能性があります。
IoTを導入した工場モニタリング
近年、ビジネスの世界ではデジタライゼーションの重要性が増してきています。その具体的な事例として、IoT(Internet of Things)を活用した工場の監視体制が注目を集めています。
この新しい形の工場モニタリングでは、各種機械にセンサーを設置し、作動状況や異常発生をリアルタイムで監視し、データ化することで作業の効率化を達成します。さらに、蓄積された大量のデータを分析し、予測保守などの予防策作りに利用することも可能となります。
IoTの導入により、人間が行っていた検品、温度・湿度管理、異常動作の検知、消費電力の監視などが自動化されることで、人間のエラーを排除し、分析の精度を向上させることが可能になりました。これは品質改善や生産効率の向上に大いに貢献します。
デジタライゼーションはただ単にデジタル化するだけでなく、収集したデータを有効に活用し新しい価値を生むことが可能となっています。これはIoTの導入による工場モニタリングを例に挙げただけで、デジタライゼーションがもつ広範な可能性を示す一例に過ぎません。
まとめ
デジタライゼーションとは、物理的な情報をデジタルデータ化するプロセスのことを指し、その活用範囲は個々の業務や部門に留まる。一方、DXはデジタライゼーションを土台に企業全体を見渡し、ビジネスモデル自体を変革する大規模な取り組みとなる。両者は密接に関連しながらも、その対象範囲と目指すゴールに大きな違いが存在します。
よくある質問
「Digitization」と「Digitalization」の違いは何ですか?
デジタイゼーション(Digitization)は、特定の業務やプロセスをデジタル技術で効率的にすることに焦点を当てた部分的なデジタル化を指します。これは主に、業務の特定の側面や機能をデジタルに変換して、効率化やコスト削減を実現し、アナログの情報をデジタルデータとして蓄積できる環境を整えることを意味します。
一方で、デジタライゼーション(Digitalization)は、特定の組織や個人の範囲を超え、社内外のさまざまな組織が協力して一連の業務フローや業務プロセスを全体的にデジタル化することを指します。これはより包括的で、組織全体や業界全体のデジタル変革を促進するために広範なデジタル技術の導入を含みます。
デジタライゼーションの具体例は?
デジタイゼーションは、これまでアナログで行っていた業務をデジタルに変換する取り組みを指します。 具体的な例としては、紙の資料を電子化してPDFに変換することや、従来の対面の会議をオンラインで行うように切り替えることが挙げられます。
デジタイゼーションとはどういう意味ですか?
デジタイゼーション(Digitization)は、特定の業務をデジタル技術を導入して効率化やコスト削減を図り、アナログの情報をデジタル化してデータを蓄積できる環境を整えるための、部分的なデジタル化の手法を指します。
DXの3つの定義は?
「デジタイゼーション」、「デジタライゼーション」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉は、ビジネスのデジタル化に関連して頻繁に使用されます。これらはビジネスのデジタル化やDXを進化させるために不可欠な概念です。
デジタルデータ化とは何ですか?
電子化は、紙のドキュメントを電子ファイルに変換するプロセスを指し、デジタル化はアナログで管理されているデータを電子形式に変換して、効率的に利用できるようにするプロセスです。
デジタル化には何種類ありますか?
デジタル化には3つの異なる形態が存在します。
- デジタイゼーション:アナログまたは物理的なデータをデジタル形式に変換すること
- デジタライゼーション:組織内の各業務や製造プロセスをデジタル化する取り組み
- DX(デジタルトランスフォーメーション):組織全体にわたり、業務および製造プロセスをデジタル化し、業務自体や企業文化を変革するプロセス
デジタル化が進まない理由は何ですか?
2021年の総務省の調査によると、デジタル化が進まない理由について尋ねたところ、最も多い回答は「情報セキュリティやプライバシー漏えいへの不安」であり、その割合は52.2%でした。それに続いて、「利用者のデジタルリテラシーが不足している」(44.2%)、「デジタルでの業務活用が不十分」(36.7%)、「通信インフラが不足している」(35.5%)などが挙げられました。
デジタルデータとは何ですか?
デジタルデータは、本来はアナログ値(連続値)である音声などの自然に存在するデータを、マルチメディアシステムなどのコンピュータで処理する際にデジタル値(不連続値、離散値)に変換したものを指します。したがって、デジタルデータとは主にデジタル値のみで構成されたデータのことを指します。
デジタルデータの具体例は?
デジタルデータは主にパソコン、スマートフォン、タブレットなどのコンピュータを介して伝達されます。 コンピュータはデジタルデータを電子化する際に2進法を活用します。 チャットやメールなどがデジタルデータの代表的な例であり、これらはコンピュータ上で離散的なデジタル値として処理されます。 一方で、アナログデータは物理的なモノそのものを伝達する必要があり、宅配便や郵便がその主な例とされます。
経済産業省 DX いつから?
DXの概念は、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏によって初めて提唱されました。 日本においては、2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」をまとめたことがきっかけで、DXの概念が広く浸透し始めました。