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農業DXとは?スマート農業との違いやメリットを解説

次世代の農業、それが農業DXです。しかし、”DX”、”スマート農業”といった言葉に馴染みが無い人も多いのではないでしょうか。

この記事では、新時代の農業を象徴する”農業DX”について簡潔に解説し、一般的な「スマート農業」とどう違うのか、また、そのメリットとは何なのかについてお伝えします。先進的なテクノロジーがもたらす新しい農業の形、その魅力を一緒に探求しましょう。

農業DXとは

農業DXとは、単にITやロボット技術を用いて農業を効率化するだけの概念ではありません。食物や健康といった幅広い視野に基づき、農業の根本からの変革を目指すものです。

最先端の技術やデータ分析を引き合いに出すことで、農業生産だけでなく、流通、販売、マーケティング、ブランド戦略、廃棄物の処理、さらにはCO2排出対策など、農業に関連するすべての項目を包括的に改革します。

この農業DXは、農産物の生産力と品質を向上しながら、農事従事者の働きやすさや収益性も高める役目を担います。生産物に高い付加価値を持たせることで、農業界を超越して食の安全性、信頼性、および供給の安定性にも変革をもたらす可能性を秘めています。

これらの先端技術を導入するためには、初期投資や適切な技能・知識が必要となり、そのためには国や地方自治体からの支援が不可欠となります。

農林水産省が目指す農業DX構想とは

農業労働力の高齢化と労働力不足が問題となる日本において、デジタルテクノロジーの活用を通じた農業の効率化、そして消費者ニーズの理解と当に応じた農産物・食品の提供が注目を集めています。それを実現する手立てとして提案されたのが、農林水産省が掲げる「農業DX」構想です。

農業DXとは、農業とデジタル技術を融合させ、データ分析により最適な農業作業を実現し、新たなビジネスの創出や競争力の向上、働き方の改善、農業魅力の向上を目指すという構想です。2030年を目指し、デジタルを活用して農業内外の課題を解決し、価値ある農業を消費者に届けることを目的としています。

この構想におけるキーポイントとして「Farming as a Service(FaaS)」という考え方があります。これはスウェーデンのスタートアップ企業SweGreenが提唱した概念で、農業に必要な部分だけを、簡単で低コストで提供するサービスを意味しています。

農業DXとスマート農業の違いとは

農業DXとスマート農業は、一見すると似ているようでいてその実、異なる特徴を持っています。

農業DXは、農業にデジタルトランスフォーメーションをもたらす概念です。これには、AIやIoT、クラウドサービスなどの先進技術の導入が含まれます。

このデジタル化は、消費者が単に食料を供給されるだけでなく、価値ある体験を得られるような農業を目指しています。さらに、農業DXは生産現場だけでなく、流通、小売、消費者、そして農業行政までをカバーしています。

それに対して、”スマート農業”は、新たな農業の形を描いています。

省力化や品質の安定化を目指して、ロボットやICTを現場で活用し、効率的な農作業を推進します。スマート農業の視野は、特定の技術だけでなく、より幅広い農業革新を含んでいます。

農業DXのメリットとは

農業DXとは、デジタル技術を駆使して農業をより効果的で、より進化したものに変えていく試みです。このような取り組みには数々の利点があります。

ICT(情報通信技術)を利用することにより、変動する気候や季節による作物の収穫量の変化を抑制し、一定の生産を可能にすることができます。これは、センサーを使用して土壌や気候のデータを集め、それを人工知能が分析して最適な作付け条件を創り出すためです。

DX化は人力及びコストの削減に寄与します。自動化された作付けシステムにより、高齢化や労働力の不足が問題となっている地方でも対応できる可能性が広がります。

さらには、データ分析によって、効率的な肥料の利用や、最適な収穫の時期を判断することが可能となり、意味のない労働を減らすことができます。

また、DX化は消費者への情報提供においても重要な役割を果たします。スマートフォンを通じたトレーサビリティ(生産過程の可視化)は、消費者に安心感と信頼性をもたらします。これにより、農家のブランドイメージを高め、新たな価値を生み出すことができるでしょう。

SDGsへの対応という観点からも、最適な農作物の生産や、安定した量の生産、消費者の要望に即した生産などが可能になります。

農業DXの課題とは

農業DXは、デジタル技術の農業への導入を目指す働きかけです。これは生産や効率の改善を意図しているものの、その推進には幾つかの課題を抱えています。

最も重要なのは、データ収集と分析の技術力の不足です。一例をあげると、ドローンやIoTを駆使して作物の成長を目視することで、ベストな農業作業を選出したいところですが、そのために必要な技術力がまだ整備されていないため、力強い改良が必要となっています。

その次に、人口の高齢化が進行している問題が挙げられます。平均的な農業従事者の年齢が上昇しており、新たな技術の取り入れや理解が困難な状況にあります。これに対する解決策としては、若年層への技術習得支援や教育が鍵となるでしょう。

農業DXを前進させる上で、関連法規の整備も無視できません。たとえば、自動運転による農業作業が法律上問題となってしまう場合、その法律を改正する必要があります。さらに、個人情報保護法の下では、農業作業のデータ共有が困難となるケースもあります。

まとめ

農業DXは、業務効率の向上や生産性の強化を図るデジタル化を推進する新世代の農業手法です。一方、スマート農業はICTを活用し生産の最適化を目指す一面に留まります。

農業DXの最大のメリットは、持続可能で高品質な農産物生産に貢献するだけでなく、利益向上や業績安定、新規参入者の育成も視野に入れた農業全体の革新を可能にする点です。

よくある質問

圃場整備とはどういう意味ですか?

ほ場整備は、主に農地の区画整理、農道の整備、および農業用排水路の一括整備を指します。このプロセスでは、田畑を大きな区画に整理し、用水をパイプラインで管理しやすくすることで、幅広い農道を整備します。これにより、大型機械の利用が可能になり、農業用水の管理も容易になります。結果として、農業生産性の向上が期待されます。