1. HOME
  2. 新規事業開発
  3. 商品開発の流れとは?プロセスを分かりやすく解説
新規事業開発

商品開発の流れとは?プロセスを分かりやすく解説

新しい商品を生み出すこと。極めてシンプルに聞こえるこの作業は、実はその裏に数多くの複雑なプロセスが存在します。それぞれのステップが組み合わさり、一つの商品が完成します。しかし、一見してその深さを理解するのはなかなか難しいもの。

そこで本記事では、商品開発の流れとそのプロセスについて、分かりやすくご紹介していきます。これを通じて、創造的なアイデアを商品化する舞台裏を垣間見て頂ければ幸いです。

商品開発のプロセスとは

この章では、商品開発のプロセスについて確認しておきましょう。

①市場機会の発見・絞り込み

商品開発のプロセスは、「市場機会の発見・絞り込み」から始まります。最初のステップは市場状況を調査することです。この調査には広範な視野が求められ、市場のニーズやトレンド、競合者の動向、消費者のサイクルや常識について視野を広げることが必要です。これにより、企業は新たな市場機会を探すことが可能になります。

この適切な市場分析のためには、総合的な状況判断と機会の発見にはPEST分析、自社の位置の理解には3C分析、市場の厳選と戦略立案にはSTP分析という各種の分析手法を工夫して活用することが大切です。

②新製品コンセプトの開発

製品コンセプトは、製品が誰にどんな価値を提供するのかを分かりやすく表現したものです。ここでは、新製品のコンセプトをつくるための要素と手順を紹介します。

製品アイデアを出す

商品やサービスの開発アイデアは大別すると「シーズ型」および「ニーズ型」の2つに区分されます。「シーズ型」のアイデアは、自社のコア技術や持ち味を活用して何ができるか、という方向性で発想するタイプです。この路線の利点は企業が自社製品やサービスの強みを打ち出せる一方、市場のニーズに見合っていなければ商品が売れないという課題もあります。

一方、「ニーズ型」のアイデアは、市場から浮き彫りになったニーズを自社の技術やサービスでどう解決できるかという観点からアイデアを練る方法です。その強みは、顧客の期待を満たす商品やサービスが提供できることですが、ニーズ把握の困難さや競合商品との統一性が弱くなりがちになるという欠点も抱えています。

アイデアのスクリーニング

ここでは数あるアイデアから、実現可能性と市場受容性を総合的に評価し、最も有望なアイデアを選び出すというフェーズを遂行します。

選んだ優良アイデアは、製品の具体的なイメージや機能やターゲットとなる消費者、市場調査を経て具象化される。ここで肝要なのは、アイデアが想定する消費者の真のニーズや市場のダイナミクス、そして現実的な技術力が一致しているかを確認することです。これらを検討することにより、アイデアは新製品として具現化します。

選定作業では以下の点を確認することが重要です。「既存の製品との違い」、「独自性の有無」、「市場に必要な製品かどうか」。既存製品に同様なものがないか確認し、もしあるならどの点で差別化されているかを明らかにします。独自性のある製品は顧客にとって魅力的で競合との差別化が可能となるため、その点の確認も重要です。新製品の導入にあたっては、市場がその製品を必要としているか、またはその製品が市場に新たな需要を創出できるかどうかを調査しましょう。

製品コンセプトの開発

新製品コンセプト開発とは、まさに新たな製品のビジョンを創造し、具体化する作業を指します。これは、新製品が市場で成果を収めるためには欠かせないステップで、実際の製品設計に向けたはじめの一歩となります。新製品コンセプトの開発においては、製品の要となる機能、デザイン、価格等を考え抜き、市場の要望にマッチするよう基本的なアイデアを形成することが求められます。

このプロセスは自由な発想が大切で、一見シンプルな作業に見えるかもしれません。しかし、現実の市場状況や顧客の実際のニーズを的確に捉えながら、同時に革新的で魅力的な製品を生み出すための戦略を立案するという思考作業が必須となります。このため、多角的な視野と深い洞察力を持ち合わせていること、さらにデザイン思考というアプローチが求められます。

③事業経済性分析

経済性分析は、商品を市場に投入するために要する投資額と、その後得られる予想収益を検証することにより、ビジネスの収益性や資金の回収期間を見極める工程です。

最初に行うのは、新商品の開発に必要となる総費用の計算です。これには、開発予算、製造コスト、マーケティング費用などが含まれます。この後、商品を市場に投入した際に得られる見込みの売上や利益を推算します。

上記の二つの要素を基に、投資効果、リスク、そして投資の回収期間を見つめ直します。これらの数値の結果次第で、新商品の開発を続けるか、市場投入を行うかが決定されます。もし、予想収益が投資コストに見合わないと判断された場合には、商品開発のプランを見直したり、開発そのものを中止する可能性も考慮する必要があります。

④試作品の開発

商品開発の流れとして、試作品の作成は極めて重要なステップとなります。アイデアを具体的な形に昇華させるため、企画・設計の段階でイメージした概念から初期モデルを製作します。理想的な商品に至るまで、その試作品には多少の誤差や技術的課題があるかもしれません。

試作品は、その機能、操作性、安全性、耐久性、デザイン性といった各面を厳密にチェックする場となります。不具合や改善点が見つかった際には、それを修正し、再設計・再製作を行います。さらに、ベータテスターやターゲット顧客にテスト使用してもらい、商品化に向けた改善を繰り返します。

⑤テストマーケティング

試作段階から商品化を目指す最終段階へと進むとき、試験的なマーケティング(テストマーケティング)が行われます。商品を特定の地域や規模で販売することで、現実の市場での消費者のリアクションを観察し、これを商品の完成品に反映させるステップです。

このテストマーケティングにより、商品を実際の販売場所に設置し、実際の顧客の反応を得ることで、市場における反応を即時に把握することが可能になります。そして、商品の価格、パッケージデザイン、販売戦略などに不備があれば、必要な改善を見つけ出し、修正を加えることができます。このテスト段階を経て、商品は初めて全国展開(ロールアウト)に移行します。

テストマーケティングは、製品開発の最終防衛ラインであり、ここを成功させるか否かが製品の成功か失敗を左右します。どんなに優れた製品を創出したとしても、消費者のニーズや反応を理解せずには、その価値は認識されません。このように、製品開発の全ての過程で、消費者の視点を忘れず、そのニーズを忠実に反映することが求められます。

⑥製品化

商品開発の最終段階、製品化について検討しましょう。試作品を軸に、市場で量産が実現可能な商品を完成させることこそが、「製品化」の本質といえます。

これまで商品の研究やアイデア抽出から試作品の制作や改善を進めてきましたが、製品化には更なる厳密なチェックと調整が求められます。例を挙げると、生産ラインの動作テストで一貫した品質を保証したり、材料調達やコストカットの可否を調査したり、製品のパッケージデザインを決定したり、安全性を確認したりするなどが該当します。

さらに、製品化とは製品の形成だけでなく、商品戦略や販売戦略の立案を含む大切なステップです。その製品をどの価格設定で、何をメッセージとして、どのターゲットに向けて販売するか?などの作業が必要となります。

製品化は商品開発流れの最後のステージであると同時に、実際の生産開始前の段階でもあります。市場に製品を投入し、初めて消費者の評価や感想が得られるのもここからです。それゆえ、売上や評判を左右する重要なステップとなります。ここで、テストマーケティングを元に最終的なデザインやパッケージを決定し、製造や原材料調達の指示を出して、量産に備える体制を構築します。

⑦市場投入

製品の発表時期や手法、販売チャネルの選択等、全てを前もって絞り込んでおくことが求められます。多機能な製品だからといって、その特長が消費者に伝わらなければその価値は半減します。事前に消費者の反応を予想し、マーケティング戦略に基づく販売計画の作成が求められます。

そして、商品開発とは一度きりのものではなく、新製品が市場に出て反応を見た後も、改良や新規開発が必要となるでしょう。顧客からのフィードバックや市場動向に対応できる能力が、次なる商品開発へと繋がっていきます。

生産、販売体制が整ったら具体的な行動に移し、想定したマーケティング戦略に基づいた販売促進活動を展開します。売上やコストの管理を最適化し、市場シェアを広げることを目指します。

進捗の客観的な把握のためにはKPIを設定しましょう。売上、利益率、顧客数、顧客満足度、従業員満足度、生産コスト、納期遵守率などを指標とします。定期的に数値を確認し、問題が発生した際は早期の改善策実行や修正が重要です。

商品開発プロセスのポイント・注意点とは

商品開発のプロセスにおいて注意すべきポイントをご紹介します。

製品意義・目標を明確化

製品開発の流れにおいて、最も大切なポイントは、「なぜこの製品が存在するのか」という根本的な理念と目指すべきメインゴールを明確にすることです。これは、開発の先取りとなるステージで、製品が何を目指すのか、どんな価値を顧客に提供しようとしているのかを判断し、設定することを示しています。これにより製品の戦略的な提案が定まり、開発チーム全体が統一されたゴールに向けて進んでいく道しるべとなります。

その上で注意するべきなのは、目指すべきゴール設定はなるべく具体的であることが望ましいです。たとえば、「使いやすい製品を作る」では抽象的すぎます。その代わりに、「5分で操作方法を習得できるような製品を作る」のような具体的なゴールが必要となります。さらに、市場の動向や消費者の要求を常に探求し、そういった情報に基づいてゴールを適応的に設定していく柔軟性も不可欠です。良質な製品開発のプロセスを実行するためには、製品の存在意義と目指すべきゴールをはっきりさせることが必要不可欠であり、製品が市場で成功を収めるための一歩目となります。

開発費の回収期間を見積もる

新商品の開発というプロセスは、人材費や設備導入費、ブランド認知度向上のための広告費など、初期投資としてかなりのコストがかかります。そのため、単に商品が市場へ出てからの継続的な運営費だけを考慮するのではなく、最初に必要な投資も含めた価格設定を行い、開発費をいつまでに回収できるかの見通しを立てることが重要です。

そして、新商品の経済性を評価するためには、まず開発時に要する初期投入費を含めた全体必要資金を見積もる必要があります。その上で、それぞれの段階で必要な投資とその回収期間を計画し、詳細なキャッシュフロー策定へと進めていきましょう。

しかし、あくまでこれらは予測に過ぎません。市場の状況変化や競合の行動、新技術の開発といった思わぬ要素により計画が大きく修正されることもあります。よって、予測は定期的に更新し、適応させることが求められます。

検証や改善を繰り返す

新製品の開発プロセスで真の成果を得るには、徹底的な検証と持続的な改良が欠かせません。

一見魅力的な製品アイデアでも、全ての消費者の欲求に応えられるわけではありません。販売数を保証し、市場ニーズを満たすには、商品が提供しようとしている優位性が実際にユーザーにとって有益なのかを見極めることが欠かせません。

そして何よりも、製品のコンセプトが確定した後でも、検証と改良の作業は終わりません。数え切れないほどのテストやフィードバックを通じて、製品の価値を高める改善点を見つけ出すべきです。

検証と改良のプロセスは、製品開発の失敗を防ぎつつ、消費者の期待を超える商品を創出するための欠かせないフェーズです。戦略を適宜調整し、ユーザーの期待を満たす策を実行することにより、製品開発は成功につながるのです。これを可能にするのが、一貫した評価と調整、そして改良への強い意欲です。

特に製品開発における「4P」の考慮—製品(機能や操作、デザイン)・価格(価値意識や他社との比較)・流通(出荷体制、在庫管理、販売チャネル、販売店など)・販売促進(広告やインセンティブ、営業員研修など)—は、適切な分析を行い、プロダクトライフサイクルを延長するために必要不可欠です。

外注先の選定

商品開発プロジェクトを成功させるための大切な要素の一つは、適切な外注先の選定です。外注先の選び方は、製品の品質や価値を大きく左右し、素材の出元から製約段階、包装デザインまでの全てに影響を及ぼします。

選択肢を絞り込むための第一段階として、外注先の品質基準の設定と保守、アルの把握が重要となります。商品製作の各フェーズで企業の信用が問われるため、品質を確保しつつもリスクを最小限に抑えるのは不可欠です。

次にコスト面を検討することも忘れてはなりません。価格よりも品質を優先する場合もあるかもしれませんが、コストパフォーマンスに優れた企業を選定することで、より良い結果を得られます。

また、納期の管理と問題発生時の対応力も確認しておくべきポイントです。商品開発において時間は重要なファクターであり、遅れが生じればビジネスチャンスを逃す可能性があります。問題が発生した際に、迅速且つ適切に対処できる企業を選ぶことは、長期的な信頼関係構築のために重要です。

まとめ

商品開発の流れは、アイデア発想、市場調査、設計、試作品作成、機能確認、商品化という一連のプロセスからなります。それぞれのステップは必ずしも線形ではなく、柔軟な思考と多角的な視点が求められます。この一連のプロセスの全体像を把握することで、新商品開発の価値が深く理解できます。

よくある質問

商品の開発の流れは?

商品開発の手順は次の通りです。

ステップ1:目的・条件・ゴールの確認と設定

ステップ2:アイデアの発想・企画構想

ステップ3:具体的な企画・計画策定

ステップ4:開発・導入準備

ステップ5:販売開始・事業開始

製品開発プロセスとは?

製品開発プロセスは、新たな製品を市場に投入するための一連の手順を指します。これには市場調査や競合分析、アイデアの創出やロードマップの策定、MVP(最小限の実現可能製品)の開発などが含まれます。

商品開発に必要な視点は?

商品開発には、以下の3つの視点が重要です:「消費者ニーズ」「自社リソース」「競合優位性」。自社の受注生産で得たノウハウを活かした製品を展開することで、売上の安定化や利益率の向上に貢献し、新たな事業柱として機能することができます。

商品開発で大切なことは何ですか?

商品開発において重要なスキルは、次のようなものです。

情報収集能力

潜在的なニーズを把握する能力

分析力

発想力

企画力

コミュニケーションスキル

コンピュータスキル

魅力的なプレゼンテーションスキル

商品開発に向いている人は?

商品開発に適した人は、常に業界の最新情報にアンテナを張り、トレンドや流行を追い求める情熱を持つ人です。この分野では、消費者の視点で商品アイディアを生み出し、それを具現化していく能力が必要です。直感や個人の情報だけでは、市場のニーズに応える商品を開発することは難しいため、多角的な視点と情報収集力が不可欠です。

商品開発に必要なスキルは?

商品開発には、化学に関する知識や技術、器用さが不可欠です。試作品を作る際には、化学の基礎知識や実務的なスキルが求められます。同時に、商品のアイデアや特長を他部署に伝えるためのプレゼンテーションスキルも重要です。商品の魅力や特徴を的確に伝えることが、商品化の成否に大きく影響するからです。